電波障害の原因と対策を解説!おすすめのWiFi構築方法は?
目次
Wi-Fiを快適で安全・安心に利用するために
電波障害は、電波の干渉やチャンネル設計などの影響の可能性。
電波調査やAPの設置状況の調査などを行い、無線LANの「つながらない」を解消へ!
モバイル端末の普及に伴い、Wi-Fi6、sXGP、LPWA、ローカル5Gなど無線インフラの技術も日々進歩し、オフィス、ホテル、医療介護施設ではWi-Fiがあるのが当たり前になりました。
Wi-Fiを、快適で安全、安心に利用するためにはどうすれば良いのか?
見落としがちなポイントをご紹介致します。
電波障害の原因は?
Wi-Fi以外の機器が発する電波との干渉
Wi-Fiで利用できる電波は2.4GHz帯と5GHz帯の2種類あり、各々で特徴が異なります。
2.4GHz帯は、電波の届く範囲が広く障害物に強い一方で、同じ周波数帯に電子レンジやBluetooth、アマチュア無線など、様々な機器と電波を共有しているため、電波干渉が起こりやすい周波数帯です。電波干渉が起こることで、通信速度の低下やインターネットへの接続が不安定になったり、途切れなどが発生します。
5GHz帯は、2.4GHz帯と比べて電波の届く範囲は狭いが、電波干渉が起こりにくく安定した通信のご利用が可能な周波数帯です。帯域を確保しやすく高速通信に適している特徴を持ちます。
障害物による干渉
電波は障害物によって遮られる性質を持つため、障害物や壁の位置、形状、材質などによって利用したい場所まで効率よく電波が届かない可能性があります。
現地の構造や利用用途に応じて、最適なアクセスポイントの設置場所を決める必要があります。
チャンネルの重なりによる干渉
Wi-Fiアクセスポイントは周波数帯をチャンネルという単位に分けて利用しています。チャンネルとは通信のためのいわば道であり、2.4GHz帯と5GHz帯でチャンネル数や割り当て方が異なります。
2.4GHz帯は、72MHzの中に22MHzの帯域幅のものが14チャンネル割り当てられるため、チャンネル間は5MHzしか離れておらず、隣接するチャンネル同士で使用する周波数帯が重なり合います。
チャンネルの重なりによって電波干渉が起こることで、干渉を防ごうと通信のエリアが絞られ速度が低下します。
無線LANで利用できるチャンネル
レーダー検知による干渉
5GHz帯は2.4GHz帯と比べ、帯域が広く、干渉なく使えるチャンネルが多いことが特徴です。
屋内での利用に限られるW52(4チャンネル)とW53(4チャンネル)、屋外利用が可能なW56(11チャンネル)の利用が可能です。
このうちW53とW56は、Wi-Fi以外に気象観測レーダーや船舶用レーダー、軍事レーダーなどに利用されており、通常、Wi-Fiアクセスポイントはこれらレーダーが利用するチャンネルと重ならないように回避するDFS機能を備えています。
DFS機能は、5GHz帯(W53,W56)でレーダーなどと電波の干渉があった場合、Wi-Fiアクセスポイントのチャンネル変更時に1分間の通信の途切れが発生します。
電波障害の対策
電波調査を行う ~Wi-Fi以外の機器が発する電波との干渉~
電子レンジやBluetoothなどが発する電波と干渉しないように、原因となるものが分かる場合にはWi-Fiアクセスポイントから離して設置することが対策の一つとなります。
また、電波調査を十分に行い干渉源を明らかにすることで、電波干渉が起こりにくいWi-Fiアクセスポイントの設置や運用が可能です。
Wi-Fiアクセスポイントの設置方法 ~障害物による干渉~
電波を遮っている可能性のある“モノ”を移動することができても、壁やその材質を変更することはできません。そのため、少しでも障害物に遮蔽されることなく効率よく電波を出力できるように、Wi-Fiアクセスポイントは隠さず、見通しのよい高いところに設置する必要があります。
天井面への設置の場合、電波がアンテナ設置位置を中心に円状に広がり、効率よく広い範囲をカバーできます。
Wi-Fiアクセスポイントの設置は天井面もしくは壁面へ露出設置がオススメです。
異なるチャンネル設計 ~チャンネルの重なりによる干渉~
周波数が重ならないようにWi-Fiアクセスポイントの設置、異なるチャンネル設計をすることで、電波干渉を防ぎエリアも確保したより安定した通信環境下でご利用いただけます。
同一エリアでは、2.4GHz帯で同時に利用できるチャンネルは「1ch,6ch,11ch」「2ch,7ch,12ch」など最大3チャンネル(組み合わせの種類は5個)、5GHz帯は最大19チャンネル(W52×4チャンネル、W53×4、W56×11)を干渉の受けにくい環境で運用、ご利用が可能です。
※チャンネル:データの送受信に必要な周波数の幅
W52をうまく活用する!メーカ独自の機能について知る! ~レーダー検知による干渉~
レーダー検知による電波干渉を防ぐためには、全体をレーダー波の影響を受けないW52のチャンネルだけで構築することが対策の一つといえますが、効率よく周波数帯を利用できず現実的ではありません。レーダー波の影響を未然に防ぎたい端末や音声利用など、エリアや用途に応じて、電波の干渉を受けにくいW52のチャンネルで設計することが対策となります。
また、NEC製Wi-Fiアクセスポイントには“fastDFS機能”を実装しており、チャンネル変更にかかる通信断時間を短縮することができます。各メーカのWi-Fiアクセスポイントに備わる機能についても対策の一つとして有効です。
用途に合わせたWi-Fiアクセスポイントの設置と台数選定が必要?
Wi-Fiアクセスポイント(AP)を設置するときの考え方として、エリアカバーとユーザー(クライアント)カバーの2種類あります。
エリアカバーは、対象のエリア内のどの位置でもWi-Fiを利用できるようにする設計方法です。主に、電波が遠くまで届きやすく障害物があっても回り込みやすい性質を持つ2.4GHz帯で設計することで、Wi-Fiアクセスポイントの台数を節約し比較的安価にWi-Fi構築が可能です。
ユーザーカバーは、エリア内のどの位置でも接続できるというのは前提で、1台のWi-Fiアクセスポイントに接続される端末数や通信速度、電波干渉などを考慮した設計方法です。
例えば、「特定のエリアで必ず30台の端末を接続しなければならない」「クライアント1台あたり10Mbpsの通信速度が必要」といった条件や用途がある場合にはユーザーカバーでの構築をおすすめします。
1台のWi-Fiアクセスポイントに接続できる端末数の目安
会議室でZOOM会議を行う場合、1クライアントあたり約10Mbpsのデータ通信を要します。
1クライアントあたり10Mbpsを確保する場合…
Wi-Fi5のIEEE 802.11ac(5GHz帯)利用時:20~30クライアント
Wi-Fi4のIEEE 802.11n(2.4GHz帯)利用時:5~10クライアント
用途ごとに周波数を活用した構築がおすすめ
Wi-Fiアクセスポイントには2.4/5GHz帯の2つの周波数帯を使い通信するデュアルバンドと、「W52/W53」と「W56」の2つの帯域の5GHz帯と2.4GHz帯の計3つの帯域を同時に利用することができるトライバンドがあります。
ひとつの周波数帯で同時に通信できるデータ量は限られているため、それぞれ別の周波数帯で通信することにより、一つの周波数帯を共用する端末の数を減らして混雑の緩和、実効通信速度の向上を図ることができます。
また、SSID毎にタグVLANを設定し異なるネットワークを構築することで、同一アクセスポイントに接続しても、互いの通信を制御し、よりセキュアな環境をご利用頂くことが可能です。
クライアント端末がWi-Fiに繋がらない
スマホやタブレット、パソコン(クライアント端末)にはWi-Fiアクセスポイント(AP)が送出する電波を受信するレシーバーが搭載されています。なかには、2.4GHz帯のみに対応したレシーバーが搭載された端末があります。このクライアント端末は、広帯域で速度の速い5GHz帯のみでWi-Fiを構築した場合、APに接続できないため注意が必要です。
また、Wi-Fi規格選択のミスによりAPに接続できない事例もあります。
Wi-Fi6は下位互換がありますが、Wi-Fi4やWi-Fi5には下位互換がありません。Wi-Fi5(IEEE 802.11ac)のみを利用したWi-Fi構築をした場合、Wi-Fi4(IEEE 802.11n)のクライアント端末はAPに接続することができません。
電波を知る!
電波は目に見えないが電波を利用している機器は目で見える!
電波を利用している機器を探す!
近年、医療機関で電波の使う機会が急速に増加してます。WiFiを構築する際、どんな機器が電波を利用しているのかを知ることが大切です。また適切な環境を維持するために、電波をマネジメントすることがリスク回避のポイントとなります。
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