医療機器と干渉しない無線Wi-Fi環境の構築
医療機器の確認&干渉をおこさない電波環境の構築の重要性
5GHz帯利用の効果と注意点
目次
医療機器と干渉しない無線設計
Wi-Fiを医療機関や高齢者施設で使用するためには、医療機器と電波干渉をおこさないよう設計する必要があります。Wi-Fiで使用される電波の周波数帯には2.4GHz帯と5GHz帯の2種類が存在します。2.4GHz帯は電子レンジ、Bluetoothの使用周波数で、この周波数帯の電波を発生させる電子機器は多いのです。5GHz帯を使用するWi-Fi機器を利用することが対策として考えられますが、適切な無線ルーター設置には専門的知識が要求されます。
Wi-Fi(ワイファイ)は無線LANの規格です。現在普及が進んでおり、さまざまな機器で使用可能になっています。病院など医療機関や高齢者施設でも使用できると便利なものですが、医療機器には電波を使用しているものがあり、これらに干渉しないかについて配慮して無線ルーターを設置すべきです。使用に堪えるWi-Fi環境とともに、ほかの機器と干渉をおこさない電波環境の構築には専門的ノウハウが必要です。
今回は医療機器をはじめとした、病院で用いられるであろう電波を発生させる機器の確認と、医療機器と干渉しない無線Wi-Fi環境の構築方法を紹介します。
電波が影響を与え合う「干渉」は機器の誤作動をまねく可能性もある
電波は同じ周波数の波が同一空間で混在・衝突していると、影響を与え合い、通信障害などを起こす可能性があります。これを電波干渉といいます。
設置しようとする通信機器が干渉を受ける場合は、通信機器の理想的な電波環境が構築できません。設置しようとする通信機器がほかの機器に干渉する場合は、ほかの機器の誤作動をまねく可能性があります。
周りに医療機器がある場合は、このような電波干渉に配慮して無線機を設置することが大事です。
Wi-Fiを含む無線LANはすでに多くの医療機関で使用され、情報システムアクセスやデータ転送など幅広い用途に利用されています。電子カルテや患者情報のデータベース管理などのICT化が進んでおり、無線でも素早くデータ転送できる環境がますます望まれていくことでしょう。会計や薬剤師とも連携することで業務効率をあげることができます。
病院で使われる電波を発生する機器は医療用テレメーターやペースメーカーなどがある
病院での使用が考えられる電波を発する機器は、心電図などの生体信号を離れた場所でモニタリングできる医療用テレメーター、心臓ペースメーカー、非接触ICタグ(RFID)、院内通話に使用しているPHSなどです。Wi-Fiがこうした機器と電波干渉をおこしていないか測定し、適切に電波環境を構築することが肝心です。
研究用や物流管理などのために別の無線ネットワークが存在する場合もまれにあり、そのような場合にはお互いの調整が必要です。
また電波利用機器でなくても、なんらかの電磁波を電子機器が発生する可能性はあります。
患者や外来者が利便のためにWi-Fiを使いたい場合はスポットを用意する
無線機器は外部から持ち込まれる可能性もあります。一番ありうるのは患者自身が持ち込んだ機器による電波干渉です。医療機関や高齢者施設においては電波環境のため、携帯電話・スマホ・ゲーム機などの持ち込みの管理や使用についての注意を促す必要があります。
入院患者や施設居住者、外来者の利便のためにWi-Fiを用意するためには、医療従事者の使うWi-Fiとは別のチャンネルを設定しましょう。
使用者である患者などにはWi-Fiスポットを案内し、その場所での使用を促しましょう。同じWi-Fiでも2つの電波は通信不可能なので、セキュリティにも問題はありません。
医療機関を考慮した無線LAN装置は、干渉が防げるだけでなく管理ツールも充実していることが多いのでセキュリティ対策も安心です。また業者に設置後の定期的な保守管理を任せれば、長期間の安定した運用が期待できます。
医療機器との干渉を避けるなら周波数帯が5GHz帯のWi-Fiを導入する
Wi-Fiには2.4GHz帯と5GHz帯の2つの周波数帯が使われています。このうち問題となりやすいのは2.4GHz帯です。2.4GHz帯は電子レンジやBluetoothが使用する周波数帯であり、この周波数帯の電波を発生させる電子機器は多数あります。
干渉しあわない電波環境対策としては、5GHz帯を使用する無線ルーターの設置が挙げられます。ただ、5GHz帯はより直進性が高く回折しにくいことや、遮蔽物に弱いというデメリットがあります。使用に堪える電波環境構築には、適切な事前調査、測定、設置設計が重要です。
5GHz帯はWi-Fiのなかでも新しい規格を採用しています。
新しい規格ほど通信速度が速くなり、無線機の新規設置や更新には、より新しい規格がおすすめです。
5GHzは、気象レーダーや航空機レーダーも5GHz帯を使用しているため、法律上これらに影響を与えてはならないとされています。環境よっては5GHz帯で理想的な速度が出ず、2.4GHz帯より不利になることもありえます。
まとめ
適切な電波環境の測定と最新のWi-Fi無線ルーターの導入・更新が最良
5GHz帯の電波の使用は、Wi-Fiのなかでも新しい規格で採用されており、干渉に強いだけでなく速度も速くなっています。ただし電波環境の測定と無線ルーター設置には技術が必要なため、専門の業者に任せた方がよいでしょう。特に病院など医療機関や高齢者施設には、ほかの場所にない医療機器があり、これらと電波干渉をおこさないか考慮すべきです。
病院での使用が考えられる電波を発する機器は、医療用テレメーター、心臓ペースメーカー、非接触ICタグ(RFID)、院内通話用PHSなどです。また患者や外来者が電波発生機器を持ち込む可能性もあります。持ち込みの管理や使用についての取り決めを適切にすることで、安全・安心な無線環境を構築することが可能です。